2015.9.25 ドライカット
CoC Dry cut の質問をよくされます。
とくに、求職中の方からよく受けます。
そこで詳しく説明いたします。
CoC Dry cut には2つの未来があります。
美容師とお客様のため、未来のカットと未来のためのカット
現在、主流になっているカット方法は、ウェットカット⇒乾かす⇒毛量調節(削ぐ)
このように、ウェットでベースカットをします。その後、乾かして毛量調節をします。
その毛量調節の方法も、セニングばさみやレザー、スライドカットなど多様になっています。
それは、お客様の要望が高まり、美容師の技術が向上したためです。
少し前までは、ウェット⇒セニング⇒ブロー仕上げ
でしたね。現在は、再現性という言葉がキーワードとなり質感、毛量調節、オーバーダイレクションなど美容技術用語も増えてきました。
ツーセクション、ディスコネクトなど新しい考えも出てきました。好まれるデザインの変化からパーマに頼らずに、カットだけで再現することが前提となったからでしょう。
しかし、この2つは変わりません。
- ウェットで形を作るカット⇒乾かす⇒毛量調節(削ぐ、梳く)
- 前のパネルをガイドに引き出して、前のパネルに合わせてカットする。(ODなど)
しかし、生活している時、髪は常に乾いている状態です。
しかも、濡れていると束になってしまい大まかなディテールしか分からず、結果、乾かしてから確認します。
また、髪は、前のパネルに合わせて落ちるわけではなく、毛流や頭の形に合わせて落ちます。
形を作るうえで、大切だと思われていた2つの事に疑問を持つことから始めました。
今までを辞めることで、新しい物が生まれるのではないか?
未来のカットとは?未来のお客様の要望は何か?もっとも上質な価値あるカットとは何か?
そこで、従来の考えを捨てることから始めました。
まずは、ウェットカットと毛量調節という概念を捨てました。
もう一つは、パネルを引き出す、パネルを集めるという、ステムやスライスを捨てました。
最後は、効率的かつ合理的な仕事と教育を捨てました。
メリット
ウェットカットを捨て、ドライの状態でカットすると
- ストレートブローすることで、髪の伸縮差を考慮できる。
- 毛先が丸まらないため、毛束の毛先を作り込める。
- ダイレクトに仕上がりが分かることで、微調整を繰り返すことができる。
ステム、方向、OD(オーバーダイレクション)をしないことで
- 丸みや立体感を表現しやすい。
- 頭の丸みに合わせるため、毛先に自然な量感が残せる。
- 顔、頭に馴染むシルエットになる。
- 自然なツヤのある束感がだせる。
- タイトに収まる。
- ボリュームが出せる。
頭の形に座標を設定する。小さなピース(小片)の髪は、どこにどのように落ちるのか?確認しながら切っていくことができる。そのため、再現性が高い。
デザインを表現するうえで、毛先があるべきところに毛先を収める。切っているピース(小片)のガイドは、頭の中にあるイメージのみ。だから、様々な骨格、毛流などのケースに合わせることができる。
毛量調節という概念を捨てることで、ヘアスタイルがとても長持ちします。一部分的に極端に減らすことがないので、伸びてきても自然。シルエットから飛び出る髪がないため、長期間、崩れない。
クセ毛の場合、ウェットのベースカットの段階でルーズに切ることがあると思います。しかし、クセは一定の法則の元に出てきます。なぜなら、毎朝、同じクセに悩まされているはずです。だから、しっかりとフォルムを作り込む必要があります。しっかりと左右同じシルエットにするために、クセやカールで邪魔されない必要があります。
ヘアスタイルの「できない毛質」「できない毛量」が少なくなり対応できる髪質が増える。「できない」をお客様の髪のせいにしなくてもよくなる。
デメリット
しかし、効率的で合理的なブラントカットを捨てると
- カット時間がかかる。
- メジャー技術ではないため、教育に時間がかかる。
- イメージがガイドになるので、難しい。
デザインを表現するためのガイドは、イメージしたフォルム。今まで、主流だった「手順通り切れば、こんな形になる」っていうことが通用しません。あらためて、自分が「型にはまった、デザインと技術」であったことが分かると思います。「細部に神が宿る」ではないが、いかにいい加減にヘアスタイルを作ってきたか反省させられます。このことから、スタイリストでも習得までに少し時間がかかる。また、カット時間や教育時間が増え、効率が悪くなる恐れがあります。
どのようにして生まれたか?
ウェット&ドライカットで考えるフレンチカット、サスーンカットのようなデザインを構築していくブラントカット、様々なドライカットやエフィラージュカット。技術的なもの、デザイン的なもの、精神的なもの、すべて含め以下の事をテーマにまとめました。
- デザインから個性を考える。個性を受け入れて形(デザイン)を作る。
- 顔や頭になじむ立体感を表現し、高い価値を作る。
- 細部まで魅せれる再現性。ノーブローでまとまる。クセを魅力的なウェーブにかえる。
- 未来のヘアスタイルのために出来ること。カットによるチリついた髪をダメージレスなカットで髪質改善する。過度な毛量調節がなく次回のヘアスタイルを作りやすい。
- 感覚以外で伝えられる。技術を言葉や図で伝えられる。経験を増すごとに、ブラッシュアップされる技術。各技術者ごとに、らしさがだせる技術。
その結果、骨格に座標を取り入れドライカットでカットすることがベストという答えになりました。
パネルからピース(小片)へ切る毛束の量を減らし、「きれい」を細部まで作ります。
美容師にとって、未来のカット、未来のためのカット
CoC Dry cut は、これからの美容師にとって未来を作れるカットです。
現在、日本のカット価格が下がってきています。
価格の暴落=価値の暴落
なぜ、このようになったのか?
過度な供給のために、需要と供給のバランスがくずれた結果なのでしょうか?
それとも、カットの価値が下がったからでしょうか?
原因は、二つなのではないでしょうか?
価格を下げるために、供給を増やす。これは、短期間で技術者を作ることを意味しています。
供給を増やし過ぎ、競争が価格競争になり、さらに短期間で技術者の育成が必要になります。
また、業務委託のサロンでは、スタイリスト経験のないものが技術者として潜り込むことも可能です。
短期間で技術者を作ることは、画一的な教育をすることになります。
これは、とても簡単です。課題ヘアスタイルを数個カットすることが出来ればよいことになります。
その切り方も、パターンが決まっています。
こういった教育で育った技術者は、数年後、早いと2~3年後に不安に襲われます。
「一年経ったときに、自分の技術と後輩の技術レベルが変わらない。魅力ある外見をもった後輩や個性的な話し上手な後輩に、指名売上げを抜かされた。やれることはやっているし、値段も下げている。マッサージのサービスも誰よりも長くしているのに、お客様から支持されない。結局はセンスなのか?自分にはセンスがないのか?」
「顧客が着かない。いまだに、売上げの半分以上が新規客からの売り上げだ。安売りサロンだからしょがないのか?周りを見てみると、みんなは「ここには、長くいないから本気を出していないだけ」という。自分もそれでいいのだろうか?」
「年数を重ねても、上手くなった気がしない。このままテキストを参考に練習すれば上手くなれるのか?いつまでたっても、自分のやっていることが幼稚に思えてくる。学生のころ、キャリアを積めば、もっと特別な存在になれると思っていた。これからの流行にいつまで着いていけるのか?このまま美容師としてやっていけるのか?」
「ヘアカタのスタイル写真はスタイリングがうまいだけ、自分の作っているサロンスタイルとは関係ない。自分が下手なだけだなんて、思いたくない。」
「現在のカット価格が終わらないキャンペーンのせいで2千円台、100人カットしても売上げが20万円台にしかならない。だから、必要なくても無理にカラーやパーマ、ストレートを勧めている。生活の為にいやな仕事をするのは当たり前。でも、少なすぎる手取り。職を変えるべきなのか?」
いつまで、現役でいられるだろうか?美容師なら必ず思うと思います。
その思いをもっと深く考えると、
「何歳まで自分に、美容師としての商品価値があるのか?」
こういう事ではないでしょうか?
美容師を続けるには、体力、気力共に必要です。
家族が増えると金銭面でも、拘束時間面でも考えなくてはなりません。
美容師として未来でもカットしていられるために
答えは、単純です。
必要とされれば、いつまでも現役でいられます。やめられたら困る美容師になればいいのです。
CoC Dry cut のような細部まで自分のためにきちんと切ってくれる技術者を探すことは、ネットがあるとはいえ難しいでしょう。
私たち美容師が目指すポジションは、人生の難題を共に解決してくれる顧問弁護士や主治医のように、キャリアを積めば様々なケースを知りより信頼感が増すような存在にならないとなりません。
顧問美容師になるために、大量生産のロボット技術のような美容師から変わらなければならないのです。
家族が増えたり、生活ステージが変わると対応できるお客様が増えます。分かりあえるからこそ、信頼できると思います。だからこそ年齢を重ねても生涯顧客を作れるチャンスはあります。今、必要なのは専門性に特化した技術と自分自身に対する自信です。
CoC Dry cut は、経験を積むと同時に、研鑽を積むという表現が似合います。
ヘアスタイルやお客様の髪という無限に近い物を、細部までデザインできるのか?どこまで表現するのか?経験を積めば積むほど気づかされます。ハサミの深度ひとつで大きく表情が変わる事に、ハッとさせられます。常に発見と課題があります。まさに研鑽を積むという言葉が似合います。
そして、なによりもカットが、こんなにも楽しいと気付くでしょう。
ワンレングスの美しさ
毛量調節をされていないワンレングスの毛先を見たことありますか?また、その状態からカットしたことありますか?
どのヘアスタイルより毛先に艶があるヘアスタイルです。ただ、どのスタイルよりも重く表情に乏しいです。このスタイルを軽くしようとセニングバサミで梳くとしましょう。すると今まであった美しい毛先の艶が失われ、パサつきがちなチリチリした髪質に変化してしまったことは、ないだろうか?
CoC Dry cut では、このワンレングスの美しい毛先の艶を残しつつ、もっと表情豊かに様々なフォルム、ディテール、シェイプをデザインできるように考えられています。
それは、たった一本のハサミで作るからです。動刃と静刃の刃付けを微妙に変え、よりドライカットに向いているハサミを特注しました。使うものを少なくし、使うテクニックを最小にすることでデザインのみに集中できます。
カットでダメージさせず、長く続けることで美しい髪質にチェンジさせられるでしょう。
ブランドには頼らない
お客様が綺麗になる為に、また、自身の甘えをなくすためにブランドに頼らないことに決めました。
お客様が綺麗になるのに、ブランドは必要だろうか?
ブランド化している有名講師の講習を受けても、ブランド化している有名ヘアアイテムを導入しても、目的が明確でなければ、けして目の前にいるお客様は美しくなれない。自分への特別感や達成感という自己満足でしかない。
私たちは、自らのお客様に合わせ、目の前にいるお客様のために役に立つ技術を研鑽していくのが真っ当な行動です。私たちに必要なのは、有名な講師に流行りの講習を受けるのではなく、お客様に喜ばれるデザインを提供できるように技術と感受性を磨くべきです。
たくさんのカットテクニックやブランドヘアアイテムは代謝不良を起こす原因です。
CoC Dry cut は、ブランドの後光を期待せずに、自分自身で新陳代謝し技術向上ができます。
お客様の髪の未来に 美容師の未来のために
CoC Dry cut は、きちんと細部まで作り込み、きれいな毛先を作ります。
無駄な毛量調節もせず、髪にダメージを与えません。
だから、お客様がこの先の未来、色々なヘアスタイルを希望しても邪魔しません。
CoC Dry cut は、美容師が長く研鑽を続けられるカット技術。
自身のデザインの幅を広げる。
そして高い価値を与えられるため、長く現役を続けられる。
お客様とながく付き合える。
美容師とお客様の未来のための技術です。